どうも。ヴぇるです。
かかりつけ医やかかりつけの病院をもちましょうというワードが出てから随分経ちます。
同じくしてかかりつけ薬局・薬剤師をもちましょうという流れがここ数年で進んでいます。
そこで、調剤薬局の薬剤師である私が独断と偏見でコメントしたいと思います。
かかりつけ薬剤師とは
そもそもかかりつけ薬剤師とはなにか。
某薬剤師会によると、「薬による治療のこと健康や介護に関することなどに豊富な知識と経験を持ち、患者さんや生活者のニーズに沿った相談に応じることができる薬剤師のこと」とされています。
簡単にいうと、かかりつけ医の薬剤師版なのですが。
かかりつけと言われて想像するのは、普通「自分が気に入った薬剤師を指名する」ニュアンスが強いかと思います。概念としては正しいのですが、本来のかかりつけ薬剤師になるためには公式ルールがあります。
かかりつけ薬剤師になるためには
実際に現場の薬剤師が、患者さんから依頼されてかかりつけ薬剤師になるための条件はこんな感じです。
- ①薬局勤務経験が3年以上あること
- ②勤務先の薬局に週32時間以上勤務していること
- ③勤務先の薬局に1年以上在籍していること
- ④薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定薬剤師を取得していること
- ⑤医療に関わる地域活動に参加していること
①に関しては、経験が浅い新人薬剤師はなれません。一人の患者様のすべての薬や健康状態を把握して適切なアドバイス、管理をするためには一人前でないといけないということでしょう。
②③に関しては、そもそも薬局にほとんどいないのに患者さんの相談を受けたりできないetc対面的な問題と、もしなにかアドバイスするときに近隣の医療機関や情報を知らないとアドバイスできないという観点から1年以上その地域で働いていないといけないという条件が課せられているのでしょう。
④に関しては、簡単にいうとしっかり最新の医療について勉強しなさいという条件がついています。ざっくりですが、4年間で40単位(1単位が約90分の講義)取得すれば研修認定薬剤師になれます。
その後は3年更新で毎年5単位以上かつ30単位で更新となります。きちんと勉強していないといけないということですね。私が初めて認定薬剤師を取得したときは80単位くらいありました。
⑤に関しては、コロナということもあっていまは難しいですが、講演会を開いたり健康フェアを開催したりそういった地域活動に参加した実績が必要です。
これらを満たしていないと、かかりつけ薬剤師になれないので注意が必要です。
逆にかかりつけ薬剤師になれる薬剤師は、これを満たしているので普通の薬剤師よりは信頼できると思います。
かかりつけ薬剤師のメリット
ほとんどの方は、薬局は受診した病院の前にある薬局に行くと思います。
例えば内科を受診したら前のA薬局、たまたま皮膚科を受診したときはそこのB薬局など。
しかし、国は「なるべく同じ薬局でもらうように。薬を一箇所でもらって情報を管理するべきだ。」としています。
ここで仮に同じ薬局に行ってもどんな薬をもらっているかなどの情報は、カルテ上ではまとめて管理されています。しかし、細かい会話や経緯などの詳しい情報はやはり直接関わった薬剤師でないとわかりません。
大抵の場合は、そのときの勤務薬剤師が順番にランダムにおくすりの説明をしてくれると思います。
かかりつけ薬剤師を指定した場合、(出勤してないときは例外として)毎回同じひとがおくすりの説明をしてくれるようになります。
つまり、毎回症状の説明をしたりする手間もないし、これまでの治療の流れを何度も話す必要もなくなりますし、薬剤師からもおかしな点があればすぐに対応してもらえます。
処方箋の薬だけでなく、サプリメントや健康食品、生活習慣についても同じ薬剤師が担当してくれるのはありがたいと思います。
あとは、薬剤師側からしても自分を指名してくれるのは嬉しいですね。
他にも、24時間対応の緊急連絡先を教えてもらえるのでわからないことがあれば薬局の営業時間外でも相談できるのはありがたいですね。
かかりつけ薬剤師のデメリット
しいていうなら、かかりつけ薬剤師指導料という加算が算定されるので通常よりも窓口負担が増えます。
だいたい10円〜40円くらいです。(負担割合による)
ただし、窓口負担の上限がある人(福祉の医療証を持っているなど)は上限を超えません。
かかりつけ薬剤師の活用方法:私見
もし薬剤師の私が、調剤薬局でかかりつけ薬剤師をお願いする場合をパターン別に考えてみました。
A:自分と話が合う薬剤師にお願いする
→これはいわゆる指名に近いですね。
B:管理薬剤師など経験と知識が豊富でしっかりした薬剤師にお願いする。
→いきなり新人とかめちゃくちゃな薬剤師に説明されるくらいならこっちのほうが安心ですよね。
C:メンタル系などのあまり知られたくない、恥ずかしいものを定期的にもらう場合
→毎回違うひとかつ色んなひとに話すのが気になるひとはいいんじゃないでしょうか。結局はカルテを見れば全員で共有されますが、カルテをわざわざ覗いたりはしないので大丈夫です。
D:とにかく女性が苦手、男性が苦手なので同性の薬剤師がいい。
→受付時にお伝えしていれば、別にかかりつけ薬剤師でなくても大丈夫ですが、デリカシーのない薬局もあるので無難にいくならこういう使い方もありかと。
ぱっと出てきたものでこんなもんでしょうか。
特にCのパターンのときは、定期的にもらう場合に症状の変化や相談をしやすくもなりますし、薬剤師側からも変化に気づいてもらえたりするのでいいかもしれません。
かかりつけ薬剤師は必要か
かかりつけ薬剤師をお願いする必要はないかもしれませんが、この人に毎回おくすりの説明をしてほしい、相談したいという薬剤師を見つけておくことは大事です。
薬局はコンビニよりたくさんあります。かかりつけ薬剤師と言わずとも、かかりつけ薬局を見つけられるようになるといいですね。
最後に:かかりつけ薬剤師ヴぇるの実話
私もかかりつけ薬剤師をお願いされたり、逆にお願いしたりしました。
お互いに信頼関係が構築されてこれまで知らなかったことまで教えてもらえたり、本人だけでなく家族の相談事やプライベートの話までしてくださっていいこと尽くめでした。
転職してからも、前の職場のかかりつけ患者さんから連絡をもらうこともあります。非常にありがたいです。
いまはまだ同じ薬局で1年在籍していないので、かかりつけ薬剤師にはなれませんが。
点数とか算定とか関係なく、選んでいただけるような薬剤師を目指して日々精進してまいります。
では。